【第4回】11.会陰切開と満足度

*各項目推奨のレベルは以下の通りです。

  1. 科学的根拠があり、行うよう強く勧められる。
  2. 科学的根拠があり、行うよう勧められる。
  3. 科学的根拠はないが、行うよう勧められる。

**本ゼミナールは、厚生労働省班研究2011-2012年「母親が望む安全で満足な妊娠出産に関する全国調査―科学的
根拠に基づく快適で安全な妊娠出産のためのガイドラインの改訂-」(研究代表者:島田三恵子 大阪大学教授)に基
づいており、同研究班が発行した「科学的根拠に基づく快適で安全な妊娠出産のためのガイドラン(金原出版株式会社
2013年)」を参考にしてください。

 会陰切開は吸引・鉗子分娩や会陰伸展が不良の場合など、会陰損傷を軽減する目的で行いますが、特に初産において半ばルーティンに行うことも多いです。そこで、会陰切開をルーティンに行った場合と必要時行った場合の満足度について調査し、同時に会陰部外傷の発生状況等につき、文献検索を行いました。その結果、会陰切開は分娩期の満足度に影響を与えないことがわかりました(図21)。

(図21)

一方、ルーティンに会陰切開を行った方が、重度の会陰裂傷はむしろ多く、長期予後としての骨盤底障害発症についても、ルーティンの方が肛門失禁の頻度が高いとの報告もありました。そこで、調査結果と、文献システマティックレビューから、以下のRQと推奨が得られました。

RQ:会陰切開の適応は?

推奨  
 分娩時にルーティンに会陰切開を行うことに、会陰部裂傷の頻度を減少させる効果や、長期間後の骨盤底障害を予防する効果はないので、会陰切開をルーティンに行う必要はない。会陰切開は、胎児のwell-beingの観点から必要と認められる場合や、会陰部の大きな裂傷を回避する場合に行う。会陰切開を行わない場合、陰唇裂傷などの前方損傷を増加 させる可能性があるので、会陰保護手技を慎重に行う必要がある。【A】