26.ジャンプアップ2(HARADAの波は要注意)
ジャンプアップ1の図1のHARADAの波続きである。
納得いかない読者のために、今回は日本医療機能評価機構の「産科医療補償制度胎児心拍数モニターに関するワーキンググループ.脳性麻痺事例の胎児心拍数陣痛図(波形パターンの判読と注意点).2014.」より、3症例のCTGをご覧いただく。
立ち上げから7年間程度、産科医療補償制度の原因分析委員会に参加し、多くの脳性麻痺事例のCTGを検討してきたが、これらはそのうちの3症例である。
いずれもHARADAの波と似ている。図1は、頻脈もあり少し悪そうである。図2は、基線細変動が乏しく少し悪そうである。しかし、図3は、頻脈気味だが正常脈で、基線細変動も図2ほど乏しくない。もしこのCTGの前半に一過性頻脈が出現していたとすれば、見過ごしてしまうかもしれない。
もちろんこの波形だけで障害(傷害)が発生するわけではないが、これら3症例はいずれも脳性麻痺を発症しており、後に出現する深刻な状態の予兆ということができる。
納得いただけたかどうかわからないが、「HARADAの波」をまとめておく(図4)。
「基線細変動は一過性変動のない部分で判読する」ことが、原則であることを思いだしていただきたい。徐脈部分では基線細変動が増加する傾向があるためである。仮に心拍数が低下していなかったとしても、子宮収縮に遅れて、遅発一過性徐脈が出現する場所で、基線細変動が増加するなど胎児のstatusに変動があれば、何かが起こり始めているのである。