38.経口中絶薬治療後の外来受診タイミング
2026年の夏も酷暑になりましたが、いかがお過ごしでしょうか?
さて、2023年4月に経口中絶薬であるメフィーゴ®パックが薬事承認されてから、3年が経過しました。国内でこれまで1万5千件以上、毎月700件以上の初期人工妊娠中絶で安全に使用されて、今後も増加傾向のようです。
とはいえ、これまで十数件、千に数件の割合で治療後の性器出血の持続、高度貧血で入院や輸血となっています。いわゆる妊娠組織遺残(Retained Products of Conception: RPOC)による性器出血の持続が原因と考えられておりますが、経口中絶薬治療だけでなく、他の人工妊娠中絶・流産手術や正常分娩後でも一定の割合で発生しうるとされています。
一方、メフィーゴ®パックの適正使用ガイドには、胎嚢排出の確認に重点をおいており、治療直後の来院徹底が明記されていますが、上記のようなRPOC症例を拾い上げるのには有効とは言えないと思います。
そこで、ドイツの2施設での前向き臨床研究論文を紹介します1)。154人の流産患者にメフィーゴ®パックと同量である200mgのミフェプリストンと800μgのミソプロストールを服用してから2週間、患者自身が性器出血の程度を毎日記録を行い、治療3か月以内に組織学的にRPOCの有無を確認した研究です。
その結果、性器出血が治療後2週間以降も持続した群では、それ以外の群と比較して、RPOCの確率は約6倍(オッズ比 6.06、95%信頼区間 2.15~17.10)でした。
従来、人工妊娠中絶手術と同様に、メフィーゴ®パック治療1~2週間後に、外来受診して問題なければ終診としている施設が多いと考えられますが、上記論文からは治療2週間以降に診察するのが良いかもしれません。理想的には、治療直後から1週間以内と治療後3週間後あたりの2回診察でチェックするのが安全です。
「人工妊娠中絶治療後の再診に来ない患者さんも少なくない」話も耳にしますが、安全を考えれば、電話等での受診勧奨や預り金を治療前に徴収してでも治療後の再診徹底を図ることが、近隣高次施設への迷惑を掛けないコツだと思います。
文献
- 1. Enzelsberger SH, Wetzlmair D, Hermann P, et al. Bleeding pattern after medical management of early pregnancy loss with mifepristone-misoprostol and its prognostic value: a prospective observational cohort study. Arch Gynecol Obstet 306(2):349-355, 2022.