(6)アレルギーが児に移行しない注意点

  • 親のもつアレルギーが単純に児に遺伝するというエビデンスはなく,妊娠中に児のアレルギー予防法として確立したものはない.
  • 妊娠中,授乳中ともに母親が児のアレルギー予防のために特定の食物の接種を控えることは,効果が否定されている上に母親の栄養状態に対して有害であり推奨されない.
  • 児が経口摂取する前に悪い状態の皮膚からアレルゲンが侵入することで感作され,IgE抗体が産生され,アレルギー症状を引き起こす可能性がある.初めて体内に入る食物は経口摂取が望ましい.そのため児の皮膚はなるべくよい状態を保ち,離乳食は遅らせずに生後5~6カ月頃から開始した方がよい.また人工乳に比べて完全母乳栄養がアレルギー疾患の予防に優れているという十分なエビデンスはない.