(1)民事事件の対応:各論1(2)
- 窓口(担当者)を1人にし,医療側の対応に齟齬が生じないようにする.
- 患者側との電話,直接交渉の場合には,日時・内容について記録を作成しておく.
- 弁護士を選任する(医療事件を扱い慣れている弁護士を探す).
- 医会,医師会への援助要請を行う.
- 保険会社(医師会)への連絡を速やかに行う(保険会社や医師会などへの事前連絡なしに賠償金や弁護士費用などを支払ってしまうと保険では支払われないことがある).
(2)刑事事件の対応:各論1(2)
- 弁護人の選任(医会,医師会へ弁護士の紹介を依頼することも検討する).
- 警察から事情聴取を受ける際,自己の意志に反して供述しなくてよいという供述拒否権を告げられた時は,被疑者となっているから,すぐに弁護人を選任する.
- 事情聴取の際に,捜査側に迎合することなく,違うところは違うとはっきり述べる.
- 供述調書は事情聴取の後,捜査側が書面を作成し,「読み聞かせた上,誤りがないことを申立てたので署名・押印(指印)した」という形式を採る.そのため,誤りがあれば躊躇することなく訂正申立てをする.
(3)民事・刑事共通の対応(必要に応じて):各論1(2)
- 医療側に関係者が複数いる場合には,互いに事実確認をして,共通の認識をもつように努める.
- 記憶が新しいうちに医師やメディカルスタッフからの情報を記録し,整理しておく.
- カルテ,看護記録,検査データなどを整備し複写を取り,証拠提出に備える.
- 論文や基本書の参考文献を調査,収集する.
- 診療ガイドラインについて精査しておく.
- 専門家の鑑定,証人について適任者を探し,意見書の作成を依頼する.
(4)カルテ開示・証拠保全への対応:各論1(3)
- 患者または遺族からのカルテ開示の申立てには原則として応じる.
- 裁判所による証拠保全の決定があった場合には,保険会社への報告書や院内での検討記録は提出を拒否してよい(内部でのみ利用することを予定した資料であるため).
(5)紛争解決の手続き(民事):各論1(3)
- 解決方法:裁判外の紛争解決手続(示談・ADR・調停)・裁判
- なるべく裁判外の手続きで解決することが望ましい.