3.“事故から学ぶ”ための制度・医会の事業
医療者は,再発防止・医療安全・医療の質の向上のために,“事故から学ぶ”ことが重要である.そのためには,事故の報告,収集,分析,再発防止策の立案,実行,とりわけ事故の共有化が重要であり,様々な制度・事業が展開されている(表2).
医会は2002年に「インシデント・アクシデント」レポート用紙を作成し全国の産婦人科医療機関から状況報告を受け,2004年に偶発事例報告事業,2010年に妊産婦死亡報告事業,2021年に無痛分娩有害事象収集事業(JALA:無痛分娩関係学会・団体連絡協議会),2021年に妊産婦重篤合併症報告事業を開始した.また,様々な会員への研修・支援を行っている.特に,刑事事件に巻き込まれた会員,ガイドラインを遵守しているにもかかわらず理不尽な判決で困った会員には支援している.
その他の制度として,「産科医療補償制度(日本医療機能評価機構)」,さらに医療法に基づいた「医療事故情報収集等事業(日本医療機能評価機構)」,「医療事故調査制度(日本医療安全調査機構)」がある.