生理痛(月経痛)の原因とその対処方法を教えてください!

生理痛(月経痛)の原因とその対処方法を教えてください!

月経血を子宮から体外に排出する過程で痛みが起こります。若年者では器質的な疾患が関与しない機能性月経困難症が多いです。

生理痛が重いことを正式には月経困難症と呼びます。月経時に日常生活に支障をきたし、臥床・鎮痛剤を必要とする場合を指します。月経困難症を引き起こす、子宮内膜症や子宮筋腫などの疾患が原因としている場合を「器質性月経困難症」と呼び、特定の疾患が無い場合を「機能性月経困難症」と呼び区別しています。一般に中高生の月経困難症は後者が多く、月経血排出のために子宮を収縮させるプロスタグランジン(PG)が原因とされています。PGは子宮内膜で多量に産生され、PG過量による過度の子宮収縮が子宮内血液循環の阻害を引き起こし、虚血性疼痛(心筋梗塞同様阻血による疼痛)が発生します。また、子宮が未成熟なため、月経血を排出する経路である子宮頸管の狭小も原因の一つです(図)。痛み止めを飲んでも治まらない場合は婦人科受診をお勧めします。
一般に非ステロイド系消炎鎮痛剤(NSAID)はPG合成酵素阻害剤であるため、原因物質の産生過剰を抑制し効果的です。しかし、我慢をしつづけた後、痛みのピークで耐えかねての内服では、既にPGが多く産生さているので効果的ではありません。痛みを感じたら直ぐに、またはいつも強い月経痛に悩まされている場合は、痛みを感じる前の月経開始と同時に服用した方が、その後PG産生を抑制するため効果的です。現在、数種のホルモン製剤が月経困難症の治療薬として保険診療内で処方できます。これらはlow dose estrogen progestin(LEP)製剤と呼ばれ、PG産生の場である子宮内膜の増殖を抑制することで、PG産生を抑制し効果を発揮します。また月経血のもとである子宮内膜の増殖を抑制するため、月経血量が減少し排出時の痛みは軽減され、月経量が多く支障となっている場合にも効果的です。さらに、機能性月経困難症と考えられる症例から、子宮内膜症を基礎疾患とした器質性月経困難症に移行しやすいことが報告されており、子宮内膜症の発症予防が期待できるLEP製剤の早期導入が推奨されています。しかし、使用に際しては専門医の判断が必要です。

「学校医と養護教諭のための思春期婦人科相談マニュアル」をご参照ください

「学校医と養護教諭のための思春期婦人科相談マニュアル」申込用紙