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葉酸摂取による胎児異常発生予防


 

◆ 葉酸摂取による胎児神経管閉鎖障害予防の現状 ◆

 葉酸は、ほうれん草のなかから見つかったビタミンB群の1つである。近年、諸外国の調査によって、妊娠初期の葉酸の十分な摂取が胎児神経管閉鎖障害発症予防に効果があることが明らかになり、葉酸摂取による胎児神経管閉鎖障害(二分脊椎、無脳症など)予防の啓発活動が先進各国に広がった。
 例えば、アメリカやイギリスでは葉酸摂取によって、胎児神経管閉鎖障害の発生は、この10年間で約10分の1に減少した。一方、日本では、葉酸摂取の重要性の啓発に対する効果が未だ見受けられず、この10年間で胎児神経管閉鎖障害の発生率は漸増し、アメリカの8倍、イギリスの6倍となっているのが現状である(図参照)。さらに、近年の日本産婦人科医会の先天異常モニタリング調査結果をみても、平成12年および13年における二分脊椎児の出産数は、それぞれ10000人中4.9人および5.9人と変化は認められず、また、二分脊椎児出産婦のなかで、葉酸または葉酸を含むビタミン剤の服用を意識しておこなった女性は皆無であった。また、葉酸摂取を心がけた妊婦は全体の0.67%にすぎなかった。(ホームページ:わが国における妊婦の葉酸摂取状況参照

◆ 図:各国における1980、1992、1999年の二分脊椎児発生頻度(1万人比) ◆

◆ 妊娠可能女性に対する葉酸摂取の推奨 ◆

 2000年12月、厚生省は、‘妊娠1ヶ月以上前から妊娠3ヶ月までの間に、1日0.4mg(400μg)の葉酸を摂取することによって神経管閉鎖障害の約70%の予防効果がみられる’とする情報の提供を妊娠可能な女性におこなうよう勧告した。胎児器官形成は妊娠4週には開始するため、妊娠可能な女性は日頃(妊娠の診断前)から葉酸を十分含んだバランスのよい栄養摂取が重要である。
 また、葉酸は水溶性ビタミンのため分解されやすいので、摂取法や調理法に工夫が必要である。