【第4回】12.分娩時のルーティン点滴

*各項目推奨のレベルは以下の通りです。

  1. 科学的根拠があり、行うよう強く勧められる。
  2. 科学的根拠があり、行うよう勧められる。
  3. 科学的根拠はないが、行うよう勧められる。

**本ゼミナールは、厚生労働省班研究2011-2012年「母親が望む安全で満足な妊娠出産に関する全国調査―科学的
根拠に基づく快適で安全な妊娠出産のためのガイドラインの改訂-」(研究代表者:島田三恵子 大阪大学教授)に基
づいており、同研究班が発行した「科学的根拠に基づく快適で安全な妊娠出産のためのガイドラン(金原出版株式会社
2013年)」を参考にしてください。

 現在、我が国では医療施設での分娩が大半ですが、分娩時の大量出血に備え、血管確保の目的で、分娩中にルーティンに点滴を行う場合が多くなっています。しかし、点滴を行うことは分娩中の妊婦の行動を制限することにつながり、満足度に影響を与える可能性があります。そこで、分娩時のルーティン点滴の満足度に与える影響について調査しました。その結果、分娩時の点滴は、妊婦の満足度に影響を与えないことがわかりました(図22)。

(図22)

調査結果と、文献システマティックレビューから、以下のRQと推奨が得られました。

RQ: 分娩時のルーティンの点滴は?

推奨
 分娩時にルーティンに点滴を行うこと(出血に備えて予防的に血管確保すること)が周産期の母子の結果に効果的か否かを立証する文献はなく、リスクのある産婦に限定する。特に出血等に対する安全性を追求したい場合は、ヘパリンまたは生食ロックによる血管確保を行い、妊産婦の自由度を制限しない。【C】