1か月児健康診査の目的と問診の注意点

1か月児健康診査支援事業の目的

1か月児健康診査の枠組み

1か月児健康診査は特殊な事情がない限りは出生した医療機関で産婦人科医または小児科医が実施しています。母子保健法では市町村において1歳6か月児、3歳児健康診査の実施が義務づけられている。また3から6か月頃および9から111か月頃の健康診査も多くの市町村で実施されています。

今回、母子保健医療対策総合支援事業の3項目の一つとして1か月児及び5歳児に対する健康診査の費用が助成されることによって出生後から就学前まで切れ目ない健康診査の実施体制が整備されることになります。従来通り1か月児健康診査は個別健康診査として行われます。

費用助成が行われるのはあくまでも市町村で本事業が実施されている場合のみです。4,000円の補助額の上限は国1/2,市町村1/2とされています。4,000円を上回る額を助成する市町村もあります。

従来の1か月健康診査と何が異なるのか

 ・健康診査実施医療機関

従来1か月児健康診査は分娩費用に包括していたか別立てで1か月健康診査終了時に自費診療とし全額請求されています。助成に関しては市町村によって異なり2通りの方法があります。

i.1か月児健康診査実施機関においては今まで通り保護者へ費用の請求を行い保護者が給付申請を行います(償還払い)。

ii.受診券(票)が事前に交付され受診券を1か月児健康診査実施時に医療機関窓口に提出することにより上限額まで窓口負担が軽減されます。そのため必ずしも無料になるわけではあいません。また、市町村と委託契約を締結した医療機関しか使用できません。その場合は償還払いの手続きが必要になります。

大きく変わるのは1か月児健康診査の結果を速やかに市町村に報告する義務が生じることです。

健康診査を実施する担当者

健康診査を実施する担当者は十分な経験を有し、新生児・乳児の保健医療に習熟した医師により実施することとするとされています。なお、担当者を医師とした上で、十分な経験を有し、保健医療に習熟した助産師、看護師と協力して実施することは差し支えないとされています。

健康診査の目的

  1. 疾病及び異常を早期に発見し、適切な指導を行うことで、その進行を未然に防止する。
  2. 養育環境を評価し、養育者への育児に関する助言を行い、乳児の健康の保持及び増進を図る。

ことです。

*「検診」は「がん検診」のように特定の疾患があるかどうかを診るものであるが、「健康診査」は総合的な健康診断です。

1か月児健康審査の実際

  1. 実施時期

標準的には、生後27日以降6週に達しない時期に行います。入院等特別な事情がある場合はこの児期を過ぎての実施でも適応される場合があります。

  1. 項目

観察項目は以下の項目となります。

①身体発育状況

② 栄養状態

③疾病及び異常の有無

④新生児聴覚検査、先天性代謝異常検査の実施状況の確認 _

⑤ビタミンK2投与の実施状況の確認及び必要に応じて投与 _

⑥育児上問題となる事項

  1. 留意点

・本事業の実施対象者が居住地以外の実施機関において1か月児健康診査を受診する場合等、1か月児健康診査を実施機関に委託して行うことが困難な場合については、1か月児健康診査の結果が市町村へ速やかに報告されるよう実施機関と連携する場合に限り、1か月児健康診査にかかる費用を実施対象者へ直接助成することを認めています。

・本事業の助成は1回のみであるため出生後、高次医療機関に転院になった場助成制度を利用した1か月児健康診査は出生病院か高次医療機関かのいずれか1箇所のみになります。

問診の留意点

  1. 問診で最も重要なこと

 問診で最も重要なことは話しやすい雰囲気を作ることです。必要な情報を引き出すには多くの情報を引き出してそこから医療者が問題を見つける必要があります。ネット社会で情報量は多くなっていて正しい情報にたどり着くことは容易ではありません。心配を抱えて1か月時健康診査を受診される方々も少なくありません。傾聴するだけで不安が解消されることは少なくありません。

  1. 1か月健康診査問診票の活用

保護者が事前に1か月健康診査問診票を記載しているのでそれに沿って問診を行う。問診票の項目に対して“はい”か”いいえ“を選択して答える2者択一が主体です。設問によっては”はい“が問題であったり”いいえ“が問題であったりしますが最初の選択肢に○がついていればその設問に対しては問題が無いことになります。従って、最初の選択肢に○が対いていない場合は改めて保護者から詳しい状況や心配な点を聞き出す必要があります。

  • 出生後高次医療機関に搬送になった場合

 転院搬送になった場合は紹介状の返書が来ていれば事前に目を通しおくことが重要です。まず。お子さんが入院して大変だったことを共有します。入院先の先生のお話が十分理解出来ていない場合もあります。まず、今一番心配な点を尋ねて解決できる部分は解決していくことが重要です。自身で解決できないことは高次医療機関での健診で解決するよう提案しましょう。その場で質問が思い出せない方もいらっしゃるので、思いついた時にメモにとってもらうことを提案して下さい。