2.どちらからアプローチ?
産婦人科で使う超音波プローブは主に経腹用と経腟用であります。よく、何週から経腹超音波で。。。とか言ったりしますが、別にどっちでもいいのです。どちらを選択するか?それは見やすい方を選べばいいのです。選ぶために、それぞれの特徴を知るといいかもしれません。
経腹超音波プローブ
経腟超音波とくらべて周波数が少ないため、深いところまでよく見えます。通常使うコンベックスプローブは幅広く描出できるのも特徴です。よって、妊娠中期以降の健診や、経腟超音波で届かないような大きな子宮筋腫、卵巣腫瘍などの診察に使います。ただし、骨盤に近い部分を観察するときや、皮膚に瘢痕があるような場合、皮下脂肪が厚い場合などでの観察は難しいことがあります。
経腟超音波プローブ
周波数が高く、近いところはきれいに見えますので、非妊娠子宮や付属器、妊娠初期などの観察には適しています。最近は画角が広いものも多く、経腹超音波でカバーできない骨盤内をくまなく観察できます。患者さんの不快感などを考慮すると、比較的短時間の診察が望まれます。また、プローブを動かせる制限がありますので、見たい断面をつくるのが難しい場合もあります。
最近の超音波プローブは経腹・経腟問わず解像度が高いものも多いです。私は、なるべく経腟的な診察を控えるために、妊娠8週ぐらいからはまず経腹プローブで観察するようにしています。比較的長い時間観察することもできますし、様々な角度から描出できますので、見たい画像が作りやすいからです。その一方、胎児の形態の精査を行う場合などで、経腹プローブでの観察が難しい場合、経腟超音波も合わせて行うこともあります。
さらに、手術中の術野で超音波を使用することや、ラパロの鉗子先端についた超音波プローブで観察する方法などもありますし、経腹プローブを会陰にあてて分娩進行を評価したり、子宮脱や膀胱脱を評価する経会陰超音波などの応用もあります。
それぞれの特徴や、アイデアによって超音波を活用できるとよいです。