今回のテーマは周産期医療として重要な「新生児のケア・アップデート」である.

 近年,日本では晩婚化,少子化が進む中,出生数は減少し,昨年の合計特殊出生率が 1.20 と過去最低を更新して,主要先進7か国中で最低となった.出生児が減少する中で,当然,新生児を診る機会も減少しているが,医療の進歩とともにその診療内容も変化しているのは事実である.これまで産婦人科診療では,出産直後から早期新生児を診てきて,おおよそ1か月健診までは対応してきた.その後の乳児管理は小児科医に委ねていることが多かった.

 ここで,我々産婦人科医も丁寧な新生児ケアをできるように,また乳幼児管理も理解しておくべきと考えて今回のテーマが選ばれた.昨年新たに1か月健診の動画を作成して医会 HP に載せてあるので,これも是非ご覧いただきたい.

 総論では新生児ケアの基本事項を出生直後から退院までの管理,続いて1か月健診までの管理,そして1か月健診後から乳幼児健診の管理と分けて解説してある.また,産後ケア事業についても触れている.各論では NCPR,早期母児接触に始まり,産科医療補償制度の「再発防止に関する報告書」からの注意喚起,新生児聴覚スクリーニング,新生児マススクリーニング,そして1か月健診の具体的な診察法まで記載されている.その後の乳幼児ワクチンやマイナートラブルに関しても取り上げており,実際の臨床に非常に役立つ内容になっている.

 新生児医療も進化していて,我々産婦人科医も今一度,新生児ケアのアップデートを確認する必要があろう.より一層,詳細な新生児管理を学び,さらに乳幼児健診につなげられるようになるとよいと考える.

 最後に,貴重な時間を割いて執筆にあたっていただいた諸先生方には深甚なる謝意を表したい.また,執筆・校正・編集などに携わってもらった研修委員会委員,並びに研修部会の担当役員・幹事諸君にも感謝を申し上げたい.

令和7年3月
会長 石 渡   勇