序
現在,わが国は少子化に歯止めがかからない状況にある.晩婚化や未婚化が それに拍車をかけて,少子化を食い止める特効薬が見当たらないようにすら 思われる.2024 年の出生数は過去最低の 686 , 061 人,合計特殊出生率 1 . 15 で, 出生数は今後さらに減少すると懸念されている.そうした状況にあって,政府 には分娩施設の維持確保,妊娠 / 分娩 / 育児費用の負担軽減,就労女性が不妊 治療や妊娠出産育児を労働と両立しやすい環境づくり,若い年齢層の出会いの 場の設立などの予算成立のための努力が求められ,産婦人科医には包括的性教 育 / プレコンセプションケア / メンタルヘルスケアの推進,周産期医療体制の 維持確保などの地道な活動が求められている.
今回の研修ノートの No. 115 のテーマは「プレコンセプションケア」である. 数年前までと異なり,今では殆どの医師がプレコンセプションケアという用語 を学会などで既に耳にしていて漠然と用語のイメージをもっていると思われる が,実際に何を検査して何に関してどう指導するのかまで即答できる医師はま だまだ少ない.プレコンセプションケアは『成育医療等基本方針(2021 年)』 では「女性やカップルを対象として将来の妊娠のための健康管理を促す取組」 と定義され,WHO のプレコンセプションケアのコンセンサス会議(2012 年)で は取り扱う項目として 13 の領域が示された.今回はその領域を網羅した形で 各分野の専門家にご執筆いただいた.研修医だけでなく臨床医においても最新 知識の整理となり,日本の少子化問題に大きく貢献するものと考える.
最後に,貴重な時間を割いて執筆にあたっていただいた諸先生方には深甚な る謝意を表したい.また,執筆・校正・編集などにあたっていただいた研修委 員会の先生方,医会役員の諸君に深く感謝する次第である.
令和8年1月
会長 石 渡 勇