思春期の予防接種と接種ストレス関連反応

・ 予防接種後には様々な有害事象が報告されており,原因としてワクチンの成分,接種手技,品質面の欠陥,あるいは紛れ込みによるものが知られている.
・ しかし,そのいずれでもなく,接種にまつわる「不安」により生じる反応があることが知られている.ただし,「不安」という漠然とした語では,このような反応を適切にとらえて対応するには不十分であることが認識されていた.
・ そこで WHO では,2020 年 1 月に「接種ストレス関連反応(ISRR:immunization stress-related responses)」という概念を提唱するに至った.ISRR は新生児期から成人まであらゆる年代で接種されるすべてのワクチンによって生じ得るが,本稿では思春期の予防接種を産婦人科医が安全に行うために重要と思われるポイントに焦点をあてて,この新しい概念を解説する.