(3)自身の外来もしくは自施設で対応する領域を認識する
医療者は,広くアップデートされた知識を得た上で,患者からの訴えを注意深く傾聴する.加えて,自施設の事情に合わせて工夫した問診票をこまめに改訂して患者が抱える問題点をとりこぼさないようにし,自施設でどこまで診断・治療を行い,情報提供を行うかを検討する.保険診療やガイドラインに則った診療では,有効性や安全性がある程度担保されているが,それ以外の領域では説明する側である医療者の解釈や価値観に頼らざるを得ない.
自施設以外での対応が必要と判断する場合に,無思慮に高度専門医療機関を紹介することはかえって患者に不利益が生じる場合がある.本領域に慣れていない医師が多く急性期疾患などで多忙な病院の産婦人科外来ほど,「検査で病的な異常はありません」などの説明だけが横行し,患者が行き場を失っているケースが散見される.よって,他施設(診療科)を紹介する場合には,患者に寄り添って紹介先を吟味する.