(3)AUB の症状別分類法(FIGO AUB System 1)

  • 日本産科婦人科学会生殖・内分泌委員会では,FIGO のシステムを参考に,標準的な月経を2018 年に定義し,これから逸脱したものをAUB と定義した.これらの記述は生殖期における慢性かつ非妊娠性のAUB に適用される.
  • AUB は急性と慢性に分類されるが,急性AUB とは,これ以上の出血を防ぐために即時の介入を必要とする過剰出血である.急性AUB は背景歴がなく発生することもあれば,既存の慢性AUB に関連して発生することもある.
  • 2018 年に発表されたFIGO AUB System 1(表4)では以下の点が重要である.
     ・無月経は月経周期のカテゴリーに含まれるようになった.
     ・持続時間は2つのカテゴリーに分類し,過短は削除された.
     ・ 75 パーセンタイル内の月経周期変動を標準として,75 パーセンタイル外をAUBとした.
       すなわち,年齢に応じて7~9日以内の変動(18~25 歳≦9日,26~41歳≦7日,42~45 歳≦9日)
       ならば「規則的」と定義した.実用的には,この「規則的」な月経周期変動は「おおむね±4日」と
       表現できる.
  • 過多月経の定義として,患者主観としての「女性の身体的,社会的,情緒的,および/ または物質的な生活の質を妨げる過度の月経血損失」を採用した.

  • 臨床医は,月経に関連する訴えを呈した患者から詳細な病歴を聴取する必要があり,聴取すべき病歴の内容と所見を示す(表5).また,考慮すべき身体検査の項目を示す(表6).
  • 画像検査には,経腟超音波検査,MRI 検査,子宮鏡検査などが含まれる.
     ・ 経腟超音波検査は,被爆することなく子宮のサイズや内膜の厚さ,卵巣の異常な
       どが確認でき,AUB の原因検索の初期に行うべきである.
     ・ 子宮鏡およびソノヒステログラフィーは経腟超音波検査よりは侵襲的であるが,
       診察室で実施可能である.
     ・ 子宮内膜生検は45 歳以上もしくは,45 歳未満の内膜増殖症や悪性腫瘍のリスク
       を有する,肥満,PCOS のAUB 症例に検討する.