(4)萎縮性腟炎以外の原因による外陰・腟の愁訴の診断と治療
- 腟健康指数の尺度によると腟の状態には問題がない,あるいは,現在はある程度萎縮性腟炎が関与しているとしてもそれだけでは症状の経過を説明できない場合,神経系や循環器系などによる違和感や痛みをチェックする.
- 整形外科的な課題として,椎間板ヘルニア,脊椎すべり症,脊柱管狭窄症などは一般的である.これらの問題があると,本人は膝,大腿,腰の痛みを自覚していることが多い.
- 糖尿病の末梢神経障害で下腹部や腟周りに痛みを自覚するようになる人がいる.痛みの有無は病悩期間や血糖管理とは必ずしも対応しない.また,糖尿病の治療薬のSGLT2 阻害薬(グリフロジン)を服用していて高浸透圧の糖尿による外陰腟炎を併発することがある 3).
- 骨盤静脈叢の拡張は偶然 CT などで指摘されることがある.一部の人は下腹部の鈍痛(主として左下腹痛)を自覚している.骨盤静脈叢の拡張を疑って精査を開始する場合は,まず下肢・骨盤内静脈の超音波検査を行う.