4.静脈血栓塞栓症予防
- 帝王切開術は,血流うっ滞・凝固能亢進・血管内皮損傷という静脈血栓形成の3大誘発因子(Virchow の3徴)の存在下に実施するため,術後の静脈血栓塞栓症のリスクが非常に高いと認識するべきである.
- 手術時は間欠的空気圧迫法あるいは弾性ストッキングの装着が推奨される.
- 早期離床が非常に大切であり,筆者の施設では術後6時間で初回歩行を行っている.
- 肥満(BMI > 30),血栓症既往や血栓性素因を認める患者の場合,間欠的空気圧迫法に加え,低用量未分画ヘパリン投与(12 時間ごとに5,000 単位を皮下注射)が推奨される.これによって術後再出血イベントが増加するという根拠はなく,止血が確認できていれば術直後でも開始可能であり,十分な歩行が可能となるまで続けるとよい.筆者らは術後2日目まで投与している.