4.上手な使い方
・両親学級で配布したら,まずは表紙に,母親,父親の氏名を記入するよう伝える.この行為だけでも,世界にただ1つの「自分だけのオリジナル防災ノート」を作っているという気持ちが生まれる.
・次に6ページ(図38-2)を見ながら,「妊産婦さんや赤ちゃん連れに対応した防災グッズを準備していますか?」と尋ねたり,8ページ(図38-2)を見せて,「ご家族やお友達など,身近な人の連絡先がスマホにしか入っていないということはないですか?ご自分の自宅で指定された避難所がどこなのか,ご存知ですか?」という質問をすると,多くの妊産婦は自身の災害への備えの不十分さに気づくことができる.
・災害時や避難所で14ページ(図38-3),16ページ(図38-4)のような症状があったら,遠慮せずに申し出ていいんですよ,ということも伝える.
・17ページ(図38-4)に家族の写真を貼っておきましょう,と伝えるのも有効で,被災時,写真があると避難所や病院における安否確認に効果的である.
・自分に万が一のことがあっても子どもを守るには,こういう風にパンフレットに情報を可視化して,記載内容を家族や親戚,友人と共有しておくことがカギですよ,と伝えると,そばにいて当たり前だと思っていた周囲とのつながりがさらに緊密になる.
・母子健康手帳にしか書かれていない情報もたくさんあるので,コピーを取って貼っておくことを勧める.筆者自身,6人の子どもを育てる中,いつ災害が起こってもいいよう,自分が子どもたちと離れ離れになっても他の人に守ってもらえるよう,子どもたちの健康記録はできるだけスキャンし,メールやクラウド上で家族と共有している.
・緊急時のライフライン復旧には時間がかかる.「防災リュックに3日間の備蓄を入れて抱えることを想像してみてください,この重さで避難できますか?」と聞いてみる.長期間の備えを用意できるに越したことはないが,実際に行動できなければ.「最低限の備えを用意し,余裕があったら,お水や非常用トイレ,避難靴や湯沸かしキット,子どもが喜ぶお菓子やおもちゃなど,プラスアルファの備品を増やして行きましょう」と伝えることも必要となる.