5.災害に備えることで平時の子育て支援を強化する

 ただでさえ待ったなしの課題が続出する子育て中にはなかなか防災の取り組みはできない.それを「自助」「自己責任」と済ませるのではなく,妊産婦の状況をきちんと把握し支援につなげるために,筆者は,この防災ノートを用いた研修やシミュレーションゲームなど,地域の連携や母子避難所の開設に力を入れている 5).また,弱い立場になりがちな時こそ,助けを快く受け止める力として「受援力」の重要性を実感しているので,日ごろから「受援力」を高められるような実践的ワークショップなども開催している 6)

 災害時,妊娠中であれば出産が重なる可能性もある.地域の妊産婦・乳幼児支援に『防災』の要素が加われば,妊産婦・乳幼児向けの防災事業を,平時の周産期医療や支援体制と有機的につなげることができる.

 

 

文献

1.Ai Tashiro, Honami  Yoshida,  Etsuji  Okamoto:Infant,  neonatal,  and  postneonatal  mortapty  trends  in a disaster region and in Japan, 2002 – 2012 : A multi-attribute compositional BMC Pubpc Health. 19

(1): 1085 – 1085 . 2019

2.Ai Tashiro, Kayako Sakisaka, Etsuji Okamoto,  Honami  Yoshida:Differences  in  infant  and  child mortapty before and after the Great East Japan Earthquake and Tsunami: A large population-based ecological BMJ Open. 8(11): e 022737 . 2018

3.Honami Yoshida:Population Studies  of  Japan-Lessons  Learned  from  the  Great  East  Japan Earthquake- Birth Outcomes in a Catastrophe in a Highly Aged Springer. 2021 . ISBH:978 – 981 – 10 – 4391 – /(www.springer.com/gp/book/9789811043901)

4.吉田穂波:平成26年度厚生労働科学研究費「妊産婦・乳幼児を中心とした災害時要援護者の福祉避難所運営を含めた地域連携防災システム開発に関する研究」(研究代表者:吉田穂波)平成26年度総括研究報告書.

2015

5.吉田穂波:令和2年度科学研究費「新型コロナウィルス対策に配慮した災害時の避難母子支援システム構築に向けた課題解明(研究課題番号 20 K 23230)」令和2年度報告書.2021

6.吉田穂波:災害時母子を守るネットワーク研修資料.2021.(https://giftfor.life/tool/