■うまくやれる? 職場の人づきあい 妊娠・出産・育児や看護・介護などのライフイベントは、仕事との両立において、「働ける時間に制約」ができてしまうことが問題とされています。思うように働けない自分へのもどかしさ、そして職場や家族など周囲の人間関係をめぐって揺れ動く気持ちが仕事を続けるうえでネックになってしまうことが少なくありません。 ■やめよう!マタハラまた、最近では「マタニティハラスメント(マタハラ)」といって妊産婦が職場でいやがらせを受けることが問題になってきています。少子化が問題になっている今日、こうしたことは許されない行動です。職場だけでなく、家族に対しても、何となく「後ろめたい気持ち」でいるとちょっとしたトラブルでも大きなストレスを感じ、仕事と家庭それぞれにおいて「中途半端ではないか」と自分の役割に自信を失い、まじめな人ほど追いつめられてしまうことがあります。 円滑な人づきあいは個々の事情によりとても難しい場合もありますが、大切なのは自分ひとりで抱え込まないことです。 |
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Gさん
4年目の専攻医ですが子どもが1歳半です。週4日の非常勤ですが、いずれは常勤に戻って専門医や学位も取得したいと思っています。子どもが熱を出して保育園にお迎えに行く、手術や分娩管理で時間が遅くなり途中で手を下ろさなくてはならない、など仕事を完遂できないこともたまにあります。
自分なりに精一杯がんばっているつもりでいたのですが、「Gさんは子持ちで半人前」「明日の手術はGさんでなく(1年後輩)Hくんにやってもらおう。また途中で代わるのは困るから。」などと指導医が会話しているのを聞きました。同期のLさんに「いいよねー、当直なしで。私なんか今月は10回。それでも専門医試験が同じに受けられるなんて何か納得できないよね。」などと面と向かって言われます。確かにフルに働けていないのでみんなに迷惑をかけているかもしれないけど、つらいです。
家事や育児もあるなかで離職せず、しかも目標をもって仕事を続けていることはむしろ評価されるべきことです。一時的にペースダウンしても、細く長くでも仕事を続けていれば、キャリアアップできるチャンスがあるでしょう。
責任感が強く負けず嫌いな性格な方なら周囲のこうした言動に悔しさを感じ、自分が情けないという気持ちになってしまうかもしれませんね。もし多少遅れをとったとしても、今後数十年のキャリアのなかではわずかなこと。私は私のペースで、と開き直るつもりで、それでも自分でできる工夫をいろいろ考えてみましょう。手術の予定がある日はあらかじめ保育園のお迎えの人を手配しておいて多少遅くなっても安心して仕事ができるようにしておく、休日の日勤当直だけでも引き受ける、などの方法があります。
Jさん
9年目の専門医で産婦人科医3名の病院で勤務しています。B部長と先輩のC医師と私です。若手としてこれまで月10回以上当直し毎日忙しい日々を送っていました。昨年結婚し、いま妊娠28週になりました。「こんな状況で自分だけ妊娠するなんて非常識」「さっさと辞めてくれないと次のドクターが来てもらえないので困るよね」などC先生にいろいろ嫌みをいわれます。大学からは代わりが来ないと言われており、産休ぎりぎりまで働いて産後もできるだけ早く復帰しよう、と思っていたのですが、自分がいることがかえって迷惑なのかな、と思ってしまうこともあります。最近、他のスタッフのいる前で、ちょっとしたミスについてC先生にひどく叱られることが続きました。出勤途中で動悸、めまいがすることも多く、気分が落ち込み不眠がちです。
頼りにしていたJさんが産休をとる、ということでCさんも戸惑い、自分がどれだけ忙しくなるか不安になっていると思います。まずはB部長に相談しましょう。代わりの医師が来ないなら、業務量の調整をし、仕事の配分などを決め、皆が安心して働けるようにするのがB部長の仕事です。心身の不調はパワーハラスメントによるストレスが原因になっているかもしれません。
勤務先には産業医やハラスメントに対処する組織はおかれていますか?職場で相談しにくい場合は大学や医師会などの相談窓口を利用する方法もあります。自分のなかで抱え込んで体調を崩してしまう前にまずは第三者に話を聞いてもらい、アドバイスを得られるだけでもとても安心できるものです。
■関連リンク集
相談窓口のリンクが充実している。悩んでいる本人だけでなく家族、上司、事業者向けの情報も掲載されている。メンタルヘルス全般の関連資料、手引きやパンフレットもサイトから入手できる。