35 .新生児,乳児の虐待を疑った場合の対応は?

ポイント

  • 医学的根拠に基づいた診察,客観的評価などの記録を行う.
  • 社会的ハイリスク妊娠(特定妊婦)などの評価も行う.
  • 小児科,行政などとの多機関 ・ 多職種連携による支援を進める.

    産婦人科医が新生児や乳児の児童虐待を疑った場合,客観的かつ系統的な観察と評価が必要である.身体所見では,部位・形状が不自然な皮下出血,骨折,熱傷,咬傷,眼底出血,脱毛,体重増加不良,成長曲線の逸脱などがないかを確認する.さらに,身体所見,児の全身状態,養育状況などを詳細に記録する.皮膚所見や外傷については,可能であれば写真記録を残す.骨折や頭部外傷が疑われる場合には,小児科と連携し,頭部CT,MRI,骨X線,眼底検査,血液検査などの医学的精査を行う.
    虐待であるかを即断することは避け,小児科医,看護師,MSW,臨床心理士などと多職種での協議を行い,虐待のリスクを総合的に評価する.必要に応じて地域機関(保健センター,児童相談所)との連携を進め,医学的,社会的両面からの支援を進める.虐待の疑いでの通告は個人情報保護の対象には該当しない.
    注意すべき点として,保護者自身に虐待の意図があるとは限らず,育児に不慣れなことや支援不足が背景にある場合もある.したがって,養育者との信頼関係の維持も心掛ける必要がある.