21 .妊娠高血圧腎症予防の低用量アスピリンは諸外国のエビデンスを日本人に適用できるのか?

ポイント

  • 低用量アスピリンの早産期妊娠高血圧腎症の予防効果は日本人にも適用可能と考えられる.
  • 低用量アスピリンの用量に関しては一定の見解はない.

    欧州で行われたASPRE試験では,妊娠初期スクリーニングにより高リスクと判定された妊婦に対し,低用量アスピリン(LDA)150㎎を投与することで,早産期の妊娠高血圧腎症(PE)の発症が有意に低減されることが示された1).最近,日本を含む東アジアを対象とした大規模試験においても,同様にスクリーニングを行い,高リスクと判定された妊婦に対して,体重に応じた100~162㎎のLDAを投与することで,同様の有効性が確認されている2).この結果から,LDAのPE予防効果は日本人を含む東アジア人にも適用可能と考えられる.一方で,従来の多くの研究ではLDAは体重にかかわらず一定量で投与されており,複数のメタアナリシスにおいても,用量依存性による有効性の差は明確ではない.各国の推奨量も,NICEでは75~150㎎,ACOGでは81㎎と幅があり,150㎎が唯一の標準とは言い切れない.今後は,体格やリスクに応じた投与法についてのわが国での検討とエビデンスの蓄積が望まれるが,現時点では体重を加味せず,処方上の現実性を踏まえた投与量による予防が現時点では妥当と考えられる.

参考文献

  • 1)Rolnik DL, et al. Aspirin versus Placebo in Pregnancies at High Risk for Preterm Preeclampsia. N Engl J Med. 377: 613-622, 2017 doi: 10.1056/NEJMoa1704559. Epub 2017 Jun 28. PMID: 28657417
  • 2)Nguyen-Hoang L, et al. Implementation of First-Trimester Screening and Prevention of Preeclampsia: A Stepped Wedge Cluster-Randomized Trial in Asia. Circulation. 150: 1223-1235, 2024 doi: 10.1161/ CIRCULATIONAHA.124.069907. Epub 2024 Jun 26. PMID: 38923439, PMCID: PMC11472904