26 .分娩誘発はどれくらい継続することが許容されるか?
ポイント
- 社会的適応例に対しては,連続3日以上の誘発は一般的でない.
- 医学的適応例:破水では絨毛膜羊膜炎に注意しながら,妊娠高血圧症候群などでは病状を重視しつつ3~4日以内の分娩とすることが一般的である.
- 産婦・家族の理解のもと行い,母児の健常性を確認できない場合は帝王切開を躊躇せず決定する.
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(1)社会的適応例
産婦の身体的・精神的負担を考えると連続3日間以上の誘発は一般的ではない.頸管熟化を認めない場合には,誘発日程を再検討する.
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(2)医学的適応例
前期破水では破水後12~24時間の陣痛発来待機が許容されるが一般に感染リスク増加を背景に早期誘発が望ましい 1).また,日本産科婦人科学会周産期登録施設を対象とした調査では,約2/3の施設が破水後3日以内の分娩を目標としていた 2).以上より,実臨床上は,絨毛羊膜炎に注意しながら破水後3~4日以内の分娩とすることが一般的である.また,妊娠高血圧症候群などでは血圧コントロールや臓器障害の進行を踏まえ,誘発開始後3日以内の分娩が望ましいと考える.
誘発許容期間に関する医学的エビデンスは乏しいため,産婦・家族の理解のもと誘発継続の適否を判断することが重要である.明確な許容期間はなく,継続の是非を日々再評価し,分娩誘発中に母児の健常性を確認できない場合(例:原因不明の発熱,胎児心拍異常,基礎疾患や産科合併症の病状進行など)には躊躇せず帝王切開術を決定することも大切である.
参考文献
- 1)The American College of Obstetricians and Gynecologists’ Committee on Practice Bulletin. Prelabor Rupture of Membranes. Obstet Gynecol. 135(3): e80-e97, 2020
- 2)日本産科婦人科学会周産期委員会.周産期委員会報告:前期破水の周産期管理に関する全国調査 2018 (Available from:https://fa.kyorin.co.jp/jsog/readPDF.php?file=71/6/071060862.pdf)