27 .産科危機的出血に対して子宮動脈塞栓術を行った患者が次回妊娠を希望した場合の対応は?
ポイント
- 妊娠前:妊娠可能かどうか,妊娠しても正常な胎盤形成が可能かを評価をし,妊娠した場合のリスクについて情報提供する.
- 妊娠中:前置胎盤,癒着胎盤,胎児発育の評価をする.
- 分娩時:繰り返す産科危機的出血や癒着胎盤による大量出血の可能性があるため,十分な準備をして臨む.
産科危機的出血(PPH)に対する子宮動脈塞栓術(UAE)後は,様々な合併症を起こす可能性がある.妊孕性に関しては,多くの論文では月経は91~100%で再開していると記されているが,卵巣機能不全や子宮内癒着や体部の縮小などによる無月経や希発月経も報告されている.妊娠希望がある場合は,卵巣機能や子宮鏡,超音波,必要であればMRIなどで妊孕能を精査する必要がある.Soroら1)は,UAE後の妊娠率は23%であり全体集団としては妊娠率は低く見えるが,挙児希望者に限定すれば妊娠成立率は一般集団と比較して有意差はなかったとしている.挙児希望のある場合には約80%で妊娠が成立した2)との報告もある.
PPHに対するUAE後の次回妊娠では,胎児発育不全(FGR)や早産(PTB),癒着胎盤(PAS),前置胎盤,PPH,子宮摘出のリスクが高いと報告されており,稀だが子宮破裂の報告もある.ただし,UAEは重症PPH症例に行われ,癒着胎盤や前置胎盤などの背景リスクが重なっているため,UAE単独のリスクかどうか慎重に検討する必要がある.Matsuzakiら3)は,UAE既往がある483例とない320,703例のPPH例に対するシステマティックレビューを行い,調整後のUAE既往例に有意に多かったのは,PAS(34/208,16%;オッズ比[OR]20.82;95%信頼区間[CI]3.27~132.41)とPPH(115/480,24%;OR 5.32;95% CI 1.40~20.16)のみであったと報告している.この報告の中で,UAE後妊娠におけるその他の合併症の頻度は,FGR 3.3%(5/153),PTB 9.8%(23/234),前置胎盤 6.9%(26/377),子宮摘出 6.5%(28/432)であった.UAEを行った例には前述のとおり,ほかのリスクファクターも内包していることが多く,それに関しても注意しつつ妊娠管理することが必要である.
これらのリスクを鑑みるに,多職種連携の下での管理が必要であり,PASや再発PPHに対するIVR・大量輸血・多職種対応が可能である高次施設での分娩が望ましい.
文献
- 1)Soro MP, et al. Short & long term adverse outcomes after arterial embolisation for the treatment of postpartum haemorrhage: a systematic review. Eur Radiol. 27(2): 749-762, 2017
- 2)Berkane N, Moutafoff-Borie C. Impact of previous uterine artery embolization on fertility. Curr Opin Obstet Gynecol. 22(3): 242-247, 2010
- 3)Matsuzaki S, et al. A systematic review and meta-analysis of obstetric and maternal outcomes after prior uterine artery embolization. Sci Rep. 11(1): 16914, 2021