30 .風疹 HI 抗体価 16 倍で産後風疹ワクチンを接種すべきか?

ポイント

  • 風疹ワクチンの接種歴の有無をまず確認することが重要である.
  • 2回接種歴が確認でき,抗体価が16倍であれば,原則として追加接種は不要である.
  • 抗体価が8倍以下であれば,接種歴にかかわらず産後の追加接種が推奨される.

    『産婦人科診療ガイドライン産科編 2023』では,「風疹 HI 抗体価が16倍以下の妊婦には,産褥早期の風疹含有ワクチンを勧める(推奨C)」とされている.しかし,1歳以上で風疹ワクチンを2回接種済みであるにもかかわらず抗体価が16倍にとどまる場合,ワクチンに対する抗体産生応答が低い low responder である可能性が高く,このような症例では追加接種を行っても抗体価が十分に上昇しにくいことがある1).また,抗原記憶は保持されていると考えられるため,追加接種の必要性は乏しいとされる2)
    実際,日本環境感染学会『医療関係者のためのワクチンガイドライン』においても,1歳以上で2回の接種歴が確認できれば,抗体価の測定や追加接種は原則不要とされている.一方,抗体価が8倍以下である場合には,集団免疫の維持および将来の妊娠における風疹感染予防の観点から,産後の追加接種が推奨される水準である.なお,日本では風疹ワクチンは2005年度までは1回接種,2006年度からは1歳児と小学校入学前の1年前の2回接種となっている.2008年から2012年までの5年間に1回接種だった世代に対して2回目の風疹ワクチンを接種しているため,1990年生まれ以降の女性は2回の接種歴のある世代であるため,接種歴が確認でき,HI抗体価が16倍であれば,「免疫あり」と判断し,原則として追加接種の必要はないと考えられる.接種歴と抗体価の両面から慎重に評価すべきである.以上より,ガイドライン上は推奨Cだが,接種歴を考慮した個別判断が重要である.

文献

  • 1)Okuda M, et al. Positive rates for rubella antibody in pregnant women and benefit of post-partum vaccination in a Japanese perinatal center. J Obstet Gynaecol Res. 34(2): 168-173, 2008
  • 2)奥田美加,他.風疹の母子感染を防止するには.小児内科.52(1):75-79,2020