37 .胎盤が出てこない場合はどうすればよいか?
ポイント
- 胎盤が自然排出されない場合は,まずBrandt-Andrews法などの胎盤排出促進法を実施する.
- それでも排出されない場合は,児娩出後30分を目安に用手剝離を行う.
- 癒着胎盤が疑われる時は,母体の安全を最優先に,無理な用手剝離を避け,専門的対応を検討する.
分娩第3期(third stage of labor;後産期)は,胎児娩出から胎盤並びに卵膜の排出(後産)が完了するまでの時期を指す.通常,この時期には,分娩第2期よりさらに強い子宮収縮が起こり,胎盤の剝離が促される.同時に,胎盤剝離面のらせん動脈断裂部は,子宮筋の収縮による生物学的結紮によって圧迫止血される.
単胎正期産では,胎盤は児娩出後4~10分(中央値6分)で2~3回の子宮収縮によって自然に娩出される.したがって,この時期を越えて胎盤の剝離徴候が認められない場合には,臍帯を適切に牽引し,下腹部恥骨上から母体頭側に向けて子宮を圧迫するBrandt-Andrews法を行うことが考慮される.
多くのガイドラインでは,産後出血増加のリスクから,児娩出後30分以内の胎盤用手的除去を推奨している.明確なエビデンスに基づいた時間の提示ではないが,この30分が用手剝離を行う際の1つの目安とされる.なお,癒着胎盤が合併している場合もあるため,用手剝離を行う前にその可能性を十分に検討することが望ましい.