4.RhD 陰性妊婦の分娩後 72 時間以内に血液型や間接クームス試験の結果が未着の場合の対応は?
ポイント
- 週末や連休などで新生児の血液型,母体の間接クームス試験および定量クームス試験の結果が分娩後72時間以内に得られない場合も母体に抗D免疫グロブリンを投与する.
(1)RhD陰性妊婦の妊娠中の管理
- パートナーがRhD陽性の場合,Rh不適合妊娠と考えて管理する.
- 妊娠初期の間接クームス試験が陰性の妊婦には,妊娠28週前後および分娩直後の時点で間接クームス試験を行い,抗RhD抗体の有無を確認する.
- 妊娠28週前後の間接クームス試験が陰性の場合は抗D免疫グロブリンを投与するが,分娩後の検査で抗RhD抗体が弱陽性(定量クームス試験4倍以下)となり得る1).
(2)RhD陰性妊婦の産後の管理における問題
- 施設によっては,分娩が週末や連休中であると児の血液型や母体の間接クームス試験が施行できない場合がある.『産婦人科診療ガイドライン産科編2023』では,分娩後の間接クームス試験の結果が分娩後72時間以内に確認できない状況下では抗D免疫グロブリンは同様に投与することとしているが,その前に「児の血液型がRhD陽性であることを確認したうえ」としている1).
- 一方,厚生労働省の,「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議」において,「抗D免疫グロブリンのRhD陰性妊婦に対する妊娠中感作抑制追加」の報告書2)では,本剤の投与が必要な基準として新生児の血液型が「RhD陽性または不明」を挙げており,新生児のRhDが不明の状態でも投与可能としている.
- また,本邦の抗D免疫グロブリン製剤の添付文書3)においても新生児のRhDが陽性かどうか不明である場合も産婦に投与することとしている.
- これは,後に児がRhD陰性と判明した場合,母体に不要な抗D免疫グロブリンを投与するデメリットよりも,児がRhD陽性であったにもかかわらず結果が未着であるために,本来適応のある母体に必要な抗D免疫グロブリンを投与せず,感作してしまうデメリットが上回るためと考えられる.
- 以上のことから,本稿では,72時間以内に新生児の血液型や母体の間接クームス試験の結果が未着の場合は,母体に抗D免疫グロブリンを投与することは妥当と考えられる(図1).

文献
- 1)日本産科婦人科学会,日本産婦人科医会編.CQ008-1 RhD陰性妊婦の取り扱いは?.産婦人科診療ガイドライン産科編 2023.35-38,2023
- 2)医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議公知申請への該当性に係る報告書 乾燥抗D(Rho)人免疫グロブリン D(Rho)陰性の妊娠中感作抑制の追加:厚生労働省要望番号 363(https://x.gd/Yj0Il)
- 3)抗Dグロブリン筋注用1000倍「ニチヤク」(https://x.gd/PbQX1)