8.百日咳含有ワクチンは有益性投与と記載されているが,妊婦に推奨すべきか?

ポイント

  • 米国では妊婦には三種混合ワクチン(破傷風,百日咳,ジフテリア)を接種することが推奨されており,日本においても,国内の制度上の位置づけを踏まえ,十分な説明と同意のもとで接種することを検討する.
  • 妊娠27週から36週の間に接種するのが最適である.
  • 三種混合ワクチンの接種歴にかかわらず,各妊娠中に1回接種する.

    日本では三種混合ワクチンとして,トリビック®が小児および成人・青年を対象に接種されているが,妊婦への接種は予防接種上の有益性が危険性を上回ると判断される場合のみとなっている.米国では成人・青年用三種混合ワクチンとして,Tdap(破傷風(Tetanus),ジフテリア(Diphtheria),百日咳(Acellular Pertussis)の3つに対する混合ワクチン,商品名:Boostrix ®)が用いられているが,製剤によって適応が異なり,妊娠第3三半期での接種が推奨されている製剤もある1)
    しかし,米国疾病管理予防センターは妊婦へのTdapの接種を下記のように推奨している.新生児が百日咳に罹患すると重症化することがあり,接種上の有益性が危険性が上回っているためである.日本においても,国内の制度上の位置づけを踏まえ,妊婦に対して三種混合ワクチンの接種を十分な説明と同意のもとで接種することを検討する.

  • 乳児の百日咳の負担を軽減するため,母親のTdap接種歴にかかわらず,各妊娠中にTdapを1回接種する1).ワクチン接種後1年間で抗体レベルが大幅に低下するため,妊娠中のTdap単回接種ではその後の妊娠に対する防御には不十分なためである2)
  • 妊娠中の接種タイミングとしては,母親の抗体反応と乳児への移行抗体を最大化するために,妊娠27週から36週の間に接種するのが最適である.可能であれば,この期間の前半での接種が推奨されるが,Tdapは妊娠中のどの時期に接種しても構わない1)
  • Tdap接種歴のない女性が妊娠中にTdapを接種しなかった場合,出産直後に接種する1)

文献