9.肉体労働に従事する女性が妊娠した際,妊婦健診中の指導としてどこまで許可していいか?

ポイント

  • 適切な労作と適度な範囲内であれば,通常の運動と同様に母体の健康状態を維持する上で有用である.
  • 基本的に,本人からの状況を詳しく聴取した上で,法的な基準や,肉体労働における現時点でのガイドラインやデータをもとに指導する必要がある.

    肉体労働が適切な労作と適度な範囲内であれば,通常の運動と同様に母体の健康状態を維持する上で有用だと思われる.しかし,作業の重量負荷や,労働が全身的か部分的(腕力,脚力だけ)か,などによって妊娠への負担や影響が異なる.作業経験や慣れ,休憩の有無・時間・間隔などは個人差が大きいため,一律に「この条件なら許可できる」と基準を示して指導することは難しい.

    基本的には,本人からの状況を詳しく聴取した上で,本人の申請による産前休暇のほか,法的な基準や,肉体労働における現時点でのガイドラインやデータをもとに指導する必要がある.

(1)法的な根拠

    労働基準法第2条第1項,第64条第3項,第66条第2項が該当する.

(2)カロリー消費(METS・時/週)による根拠

    エコチル調査による検討では,早産,帝王切開,器械分娩の率を妊娠中の身体的活動の程度で比較すると,中等度(8.3~23.0METS・時/週)で最もそれらの率が低いことが分かっている1)
    実際には,身体活動量(METS)は1つの目安であり,重量物取り扱い・姿勢負荷・転倒リスクなどの作業特性は別途評価する必要があり,患者自身が感じる負担や産科的状況を考慮して決めていく形になるだろう.

参考