19 .片頭痛がある女性の月経困難症の治療で NSAIDs の効果が薄い場合の対処法は?

ポイント

  • 治療方針決定の鍵は「前兆(閃輝暗点など)があるかどうか」
  • 前兆のない片頭痛には OC/LEP が第一選択,ただし慎重に管理する.
  • 前兆のある片頭痛には OC/LEP は絶対禁忌,ジエノゲスト療法などエストロゲンを含まない治療を選択する.
  • 月経前の精神症状が中等度以上であれば SSRI も検討する.

    わが国における片頭痛の有病率は女性で 12.9%と男性の3倍以上に達し,この性差は生殖可能年齢において顕著であり 1, 2),月経周期に伴うエストロゲンの急激な低下が片頭痛発作の重要なトリガーとして認識されている 3).NSAIDs の効果が薄い月経困難症患者に対しては,排卵を抑制してホルモン変動を平坦化する OC/LEP が,月経痛と片頭痛の両方に有効だが,その処方には重要な注意点がある(図16)

片頭痛のある月経困難症の治療方針フローチャート

  • (1)治療選択の最重要分岐点:片頭痛の「前兆」を確認

        治療方針を決定する上で最も重要なのが,片頭痛に「前兆(aura)」があるかどうかの確認である.
        前兆とは,片頭痛の発作が始まる 10~60 分前に現れる一過性の神経症状で,大脳皮質や脳幹の局在性の神経機能の一時的な変化によって起こる.患者がイメージしやすい言葉で,前兆の有無について問診することが重要である(図17)
        前兆を伴う片頭痛がある場合は脳卒中(特に虚血性脳卒中)のリスク上昇のためエストロゲンを含む OC/LEP は禁忌となる 5)

    片頭痛の「前兆」を確認する問診

  • (2)月経前の精神症状(PMS/PMDD 症状)も尋ねる

        OC/LEP の選択や選択的セロトニン再取り込み阻害剤(SSRI)併用など,包括的な治療を検討する 5).SSRI は月経前の精神症状(PMS/PMDD)の改善を目的として使用され,その結果として頭痛の負担感が軽減する場合がある.

    片頭痛の「前兆」を確認する問診

参考文献

  • 1)Sakai F, et al. Prevalence of migraine in Japan: a nationwide survey. Cephalalgia. 17: 15-22, 1997
  • 2)Takeshima T, et al. Population-based Door-To-Door Survey of Migraine in Japan: The Daisen Study. Headache. 44(1): 8-19, 2004
  • 3)Raffaelli B, et al. Menstrual migraine is caused by estrogen withdrawal: revisiting the evidence. J Headache Pain. 24(1): 131, 2023
  • 4)日本神経学会,日本頭痛学会,日本神経治療学会監修.頭痛の診療ガイドライン 2021.2021 5)日本産科婦人科学会,日本産婦人科医会編.産婦人科診療ガイドライン婦人科外来編 2023.2023