20 .PMS/PMDD の専門科へのコンサルトのタイミングは?

ポイント

  • 早期コンサルトの必要性を見極める(希死念慮,精神症状による重大な生活支障など).
  • まず,OC/LEP 投与により排卵を抑制する.
  • 精神症状がメインで重度である場合にはドロスピレノン含有 LEP か SSRI を試みる.
  • 最初に試みた SSRI が奏効しなかった場合は専門科に薬剤調整を依頼する.
  • 専門科にコンサルトした後も,月経随伴症状や過多月経に留意してフォロー継続を検討する.
  • (1)早期コンサルトの必要性を見極める

        月経前の精神症状の重症度を評価し,希死念慮,自傷行為,精神病状態(妄想・幻覚など),強いトラウマ症状,解離症状などがある場合,また月経周期に限らず,これらが持続する場合は速やかに精神科などの専門科と連携する.

  • (2)OC/LEP 投与

    • ホルモン療法にて排卵を抑制することで,症状出現のトリガーが取り除かれる.月経困難症や過多月経がある場合は,特に最初に試みる.
    • 精神症状に対する有効性のエビデンスが最も蓄積しているのは,ドロスピレノン含有 LEP である.
    • プロゲスチンの作用には個人差があるので,症状を観察しながら異なる薬剤も試み,「相性の良い」OC/LEP を探す.
    • ただし,PMDD では精神症状が主体となることが多く,OC/LEP 単独で十分な改善が得られない場合もある.
  • (3)SSRI 導入

    • 精神症状が主体の場合や,過去に試みた OC/LEP では副作用が出現した,または奏効しなかった場合に,エスシタロプラム,セルトラリンなどを少量から試みる.
    • 黄体期のみの間欠的投与,月経周期を通した継続投与のいずれでもよい.また, OC/LEP と併用してもよい.
    • SSRI の投与初期や増量時には,SSRI の血中濃度が不安定な時に生じるアクチベーションシンドローム(投与初期に起こりやすい不安焦燥の増悪や希死念慮の顕在化)に注意し,家族を含めた観察体制にも配慮する.特に若年者や,内服量を自己判断で調整してしまうような場合にも生じやすい.
  • (4)コンサルトを再検討

    • 基礎疾患の症状が月経前に増悪する病態を PME(premenstrual exacerbation)というが,病態の評価と治療が必要である場合,あるいは,双極性障害,気分変調症などとの鑑別診断が必要である場合,改めて専門科にコンサルトすることを検討する.
    • そのほかには,発達特性の評価やそれに対する配慮が必要である場合や,最初に試みた SSRI による効果が乏しい,副作用やアクチベーションが出現した場合,また, OC/LEP による効果不十分・副作用出現,症状悪化,それがプロゲスチンの種類を変えても改善しない場合などに,改めて専門科にコンサルトすることを検討する.
  • (5)併科診療の継続

        専門科へのコンサルトは治療の「丸投げ」ではなく,むしろよりよい治療を提供するための積極的な「連携」のスタートである.コンサルト後も,産婦人科はホルモン療法や月経管理のエキスパートとして患者さんを支え続ける重要な役割を担う.患者の意向を踏まえながら,並行して対応する.

    RhD PMS/PMDD 診療における産婦人科医の役割とコンサルトのタイミング