31 .骨盤臓器脱でペッサリーが脱落しやすい時の対応は?
ポイント
- 脱落しやすい場合には臓器脱の状態・腟粘膜の状態・生活要因から原因を把握し,対応を検討する.
- サイズの見直しが必要な場合にはリング型以外にも,キューブ型やディッシュ型など支持力の高いタイプへの変更も検討する.
- 立位や腹圧負荷下で適合性を確認し,実生活を想定したフィッティング評価を行う.
- 骨盤底筋訓練の併用や骨盤底サポーターの活用により再脱落の予防を試みる.
骨盤臓器脱に対するペッサリー療法は保存的治療として広く用いられている.しかし高度の子宮脱症例,腟の弛緩が強く支持組織の抵抗が弱い症例,肥満例,重度の直腸瘤を合併する例ではペッサリーの脱落が問題となる.また習慣性便秘や日常的に重い物を持つ機会がある場合は脱落しやすい傾向がある.脱落を繰り返す場合には,まずはその原因を把握することが重要である.
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①サイズが合わない
ペッサリーのサイズや形状の適合性を再評価する.リング型で維持困難な場合には, キューブ型やディッシュ型など,吸着力や支持力の高いタイプへの変更を試みる.
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②腟の弛緩,支持組織の脆弱化
腟粘膜の菲薄化や疼痛が脱落の一因となっている場合は,エストリオール製剤の局所投与により腟粘膜の環境を整えることで,ペッサリー挿入時の違和感や支持力の改善を図ることができる.腟粘膜の改善には局所エストロゲン製剤(腟錠・クリーム)を使用する.
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③重度の子宮脱や膀胱瘤,直腸瘤を合併している
形状が合わず,挿入位置の安定が得られないため,①同様にキューブ型(重度子宮脱例) や Gellhorn 型(重度の子宮脱 / 膀胱瘤例)への変更を考える.
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④腹圧をかける機会が多い
慢性便秘・肥満・農作業など重たいものを運ぶ作業を日常的に行っている場合には,食生活の指導による便秘の改善や肥満改善を促す.また重量物を持たないなど生活習慣の是正を指導する.
挿入の際には脱出臓器を完全に還納してから装着し,後腟円蓋を支えるよう挿入することに留意する.また,立位や負荷時にフィッティングを行うことで,日常生活動作における保持力を確認する.
さらに脱落を繰り返す例では,骨盤底筋訓練の併用や骨盤底サポーターの活用を検討する. 高齢者やセルフケアが困難な方では訪問看護との連携を図り,手術を希望しない患者に対しても,QOL を損なわないよう定期管理を行う.