32 .乳がん術後でタモキシフェンを内服している 50 代女性.子宮内膜細胞診を行う場合の間隔は? いつまで行うべきか?

ポイント

  • 無症候性症例には,子宮内膜細胞診は原則不要であり,年1回の経腟超音波検査による経過観察を基本とする.
  • 子宮内膜肥厚がある場合には,検査の意義と限界を説明した上で補助的に子宮内膜細胞診を実施する.
  • 異常子宮出血を認めた場合は子宮内膜細胞診 / 組織診を直ちに実施する.
  • TAM 投与終了後も1~2年はフォローを継続する.
  • フォロー終了後も子宮体がんのリスクが持続するため,症状出現時の早期受診を患者に指導する.

    乳がんの再発予防に有効なタモキシフェン(TAM)は,子宮内膜に対してエストロゲン様の増殖作用を示し,子宮内膜ポリープや子宮内膜増殖症・子宮体がんの発症リスクを高める.特に閉経後女性では,そのリスク上昇が顕著である.
    無症候性例に対して定期的に子宮内膜細胞診を行うことについては,現時点で有効性を支持する明確な根拠は乏しい.また,細胞診単独で子宮体がんの確定診断に至ることは困難である.したがって,TAM 内服期間中(通常 5~10 年)は,年1回の経腟超音波検査による経過観察を基本とするのが適切である.経過観察中に子宮内膜肥厚(目安として内膜厚>5㎜)を認めた場合には,その検査の意義と限界を十分に説明した上で,補助的に子宮内膜細胞診を実施することは妥当な対応といえる.
    一方,異常子宮出血を認めた場合には,超音波所見の有無にかかわらず,直ちに子宮内膜細胞診または組織診を行うことが推奨される.
    TAM 内服終了後も,エストロゲン様作用の影響が一定期間残存する可能性があるため,少なくとも 1~2 年間は同様のフォローアップを継続することが望ましい.経過観察を終了する際には,TAM 中止後も一定の子宮体がんリスクが残存することを患者に説明し,不正出血や帯下の増加などの症状が出現した際には,速やかに婦人科を受診するよう指導する.