35 .漢方薬の服薬アドヒアランス向上の工夫は?
ポイント
- 治療の目的と効果発現までの目安を具体的に伝え,患者の理解を得る.
- 患者の嗜好や生活背景に応じて剤形・投与方法を工夫する.
- 定期的にフォローアップして体調や副作用を確認し,信頼関係を築く.
漢方薬は保険診療で処方可能であり,日本における伝統的な補完代替医療の主流である. 婦人科領域でも頻用されるが,効果が発現するまでに時間を要する場合も少なくない.そのため,治療の目的や効果発現までのおおよその目安を具体的に伝えることが求められる. 治療開始から3カ月までは効果が上昇するという報告 1)もあり,短期間で頻回に処方を変 更することは慎重を要する.
また,飲みにくさから「漢方薬が苦手」と言う患者は多く,服薬継続のためには剤形の 工夫が必要である.細粒の方が飲みやすいと感じる患者がいる一方,喉に引っかかりやすいとして,細粒より顆粒を好む患者もいる.錠剤を好む患者は多いが,漢方薬の場合は錠数が多くなるため,顆粒や細粒を好む場合もある.さらに,女性の社会進出に伴い日中は就労している患者も多く,朝夕の2回内服とするなど,生活リズムに合わせた投与方法を選択することも有用である.このように患者ごとの嗜好や生活背景に応じた柔軟な対応を工夫することが重要である.
一般に漢方治療は副作用が少ないと考えられがちであるが,甘草含有処方による偽アルドステロン症や小柴胡湯による間質性肺炎などの副作用が知られている 2).近年では生薬の山梔子を含む加味逍遙散の長期投与により腸管膜静脈硬化症を発症した例が報告されている 3).このような点を踏まえ,定期的なフォローアップにより体調の変化や副作用の有無を確認し,患者との信頼関係を築くことが患者の治療継続およびアドヒアランス向上につながる.

文献
- 1)Horiba Y. et al. Traditional & Kampo Medicine. 5(1): 51-55, 2018
- 2)日本産科婦人科学会,日本産婦人科医会編.産婦人科診療ガイドライン婦人科外来編 2023.208-209,2023
- 3)Shimizu S, et al. J Gastroenterol. 21: 308-314, 2017