4.非淋菌性・非クラミジア性子宮頸管炎の対応は?(マイコプラズマ・ジェニタリウムの対応含む)
ポイント
- 性交渉歴のある女性が帯下異常や性交時出血を主訴に来院した場合は,まず性器クラミジアおよび淋菌感染症を想定し,核酸増幅検査(NAAT)による同時検査を行う.
- 検査が陰性,または治療後も症状が持続する場合は,マイコプラズマ・ジェニタリウム(Mgen)の検査を行う.主症状が帯下異常の場合は腟トリコモナスの検索も検討する.
- 非淋菌性・非クラミジア性子宮頸管炎では,腟鏡診による視診が重要であり,尖圭コンジローマや性器ヘルペスなどの鑑別を行う.
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(1)子宮頸管炎の初期対応(図 12)1)
- 性交渉歴のある女性が帯下異常や性交時出血を訴えた場合は,クラミジア・淋菌感染症を想定し,子宮頸管スワブ検体を採取して核酸増幅検査(NAAT)を実施する.
- いずれかが陽性であれば抗菌療法を行う.

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(2)検査陰性または治療後も症状が持続する場合(図12)1)
- クラミジア・淋菌ともに陰性,または治療後も症状が改善しない場合は,マイコプラズマ・ジェニタリウム(Mgen)の検査(表10)を行う.
- 帯下異常が主症状であれば,腟トリコモナス原虫の検索も検討する.

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(3)その他疾患の鑑別
- 子宮腟部に,HPV6,11や HSV が感染し,尖圭コンジローマや性器ヘルペスを発症することがある.
- 腟鏡診により腟内および子宮腟部の視診を行う(図13,14).

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(4)マイコプラズマ・ジェニタリウム(Mgen)による子宮頸管炎の診断と治療
- Mgen による子宮頸管炎は,症状が軽微または不顕性のことが多い.不妊症との関連が示唆されているが,一致した見解には至っていない2).
- Mgen は細胞壁をもたないため,βラクタム系抗菌薬(ペニシリン,セフェム系)は無効である.
- 国内外でアジスロマイシン耐性株が急増しており,44~90%がマクロライド耐性遺伝子を保有する3).一方,キノロン耐性株も0~15%に存在し4),併存例では難治化する.
- アジスロマイシン単回治療は耐性株を誘導しやすく,1g単回投与で10~12%に耐性株出現が報告されている5).
- CDC のガイドラインでは,マクロライド耐性遺伝子検査を行い,結果に基づく resistance-guided therapy を推奨している6).
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(5)国内における Mgen 子宮頸管炎の治療方針(マクロライド耐性遺伝子検査を行わ ない場合)
- 2025年に「MEBRIGHTTM ジェニタリウム Plus DR(MBL)」が保険収載され,マクロライド耐性遺伝子検出が可能となったが,多くの施設では未導入である.
- CDC 2021 STI ガイドラインで推奨されるモキシフロキサシンは7),子宮頸保険適用がないため,代替薬としてシタフロキサシンを用いる.
第一選択
- ①ドキシサイクリン 1回 100㎎ 1日2回 7~14 日間 経口投与
- ②ミノサイクリン 1回 100㎎ 1日2回 7~14 日間 経口投与
第二選択 (Sequential 治療:難治例)
- ①ドキシサイクリン 1回 100㎎ 1日2回 7日間 経口投与 ドキシサイクリンに引き続いてシタフロキサシン 1回 100㎎ 1日2回 7日間 経口投与
- ②ミノサイクリン 1回 100㎎ 1日2回 7日間 経口投与 ミノサイクリンに引き続いてシタフロキサシン 1回 100㎎ 1日2回 7日間 経口投与
- 治癒確認は,治療後3~4週間開けて行うことが望ましい.
(参考)Resistance-guided therapy(CDC 2021 STI ガイドライン 6))
①マクロライド耐性検査が可能な場合
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Step 1:ドキシサイクリン 100㎎ 1日2回 7日間 経口投与
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Step 2:検査結果に応じて以下のいずれかを追加
- マクロライド感受性あり
→アジスロマイシン1g 単回 経口投与+500㎎/日 1日1回 3日間 経口 投与(計 2.5g) - マクロライド耐性あり
→モキシフロキサシン 400㎎ 1日1回 7日間 経口投与(日本国内では保険 適用外)
- マクロライド感受性あり
②マクロライド耐性検査ができない場合
- Step 1:ドキシサイクリン 100㎎ 1日2回 7日間 経口投与
- Step 2:モキシフロキサシン 400㎎ 1日1回 7日間 経口投与
文献
- 1)日 本 性 感 染 症 学 会. 子 宮 頸 管 炎 の 診 断・ 治 療 の 流 れ.2023 年 2 月 7 日 改 訂(https://jssti.jp/pdf/shikyukeikanen_230207.pdf)
- 2)日本性感染症学会.第 2 部 疾患別診断と治療 05 マイコプラズマ・ジェニタリウム感染症.性感染症診断・ ガイドライン 2026.東京,診断と治療社.109-123,2026
- 3)Ando N, et al. High prevalence of circulating dual-class resistant Mycoplasma genitalium in asymptomatic MSM in Tokyo, Japan. JAC Antimicrob Resist. 3(2): dlab091, 2021 doi:10.1093/jacamr/dlab091.
- 4)Ando N, et al. Effectiveness of sitafloxacin monotherapy for quinolone-resistant Mycoplasma genitalium infections: a prospective cohort study. J Antimicrob Chemother. 78(8): 2070-2079, 2023 doi:10.1093/jac/dkad165.
- 5)出口隆,他.尿路・性器より検出される Mycoplasma genitalium の薬剤耐性遺伝子変異の全国サーベイラン ス.日本化学療法学会雑誌 Vol. 66,2018 年 5 号(9 月)545-550(https://www.chemotherapy.or.jp/modules/guideline/index.php?content_id=111)
- 6)Workowski KA, et al. Sexually Transmitted Infections Treatment Guidelines, 2021. MMWR Recomm Rep. 70(4): 1-187, 2021
- 7)Bissessor M, et al. Macrolide resistance and azithromycin failure in a Mycoplasma genitalium-infected cohort and response of azithromycin failures to alternative antibiotic regimens. Clin Infect Dis. 60(8): 1228- 1236, 2015 doi:10.1093/cid/ciu1162.