41 .ホルモン補充を行っているトランスジェンダー女性に対する乳がん検診は?
ポイント
- エストロゲン療法により,乳がんの罹患率は相対的に上昇すると報告されている.
- 高濃度乳房例が多く,マンモグラフィ検査とエコー検査を併用する.
- 50 歳以上で5~10 年間のエストロゲン療法を受けている場合は,2年ごとの マンモグラフィ検査を検討する.
- トランスジェンダー女性の乳がんの罹患率は,エストロゲン療法の影響により,シ スジェンダー男性と比較して 22.5 倍高い一方,シスジェンダー女性と比較すると 0.30 倍と低いと報告されている 1).これは,トランスジェンダー女性はシスジェン ダー女性に比較して,生涯にわたるエストロゲン暴露が少なく,またプロゲスチン 製剤が使用されないためとされる.
- トランスジェンダー女性では,マンモグラフィ検査で乳腺が高輝度に映る高濃度乳 房(デンスブレスト)例が多いとされる.高濃度乳房は乳がんのリスク因子であると ともに,偽陰性となりやすく,エコー検査の併用が有用とされる 2).50 歳以上で5 ~10 年間のエストロゲン療法を受けている場合は,マンモグラフィ検査を2年ごと に実施することが提案されている 1, 2).
- BRCA 遺伝子変異が見られた遺伝性乳がん卵巣がん症候群(HBOC)のトランス ジェンダー女性へのエストロゲン療法,その管理については一定の見解はないが, より低年齢から,間隔を短くしてのマンモグラフィ検査を希望した場合には,本人 と医療提供者との意思決定(SDM:Shared Decision Making)の上で実施する.
文献
- 1)Panichella JC, et al. Cancer screening and management in the transgender population: Review of literature and special considerations for gender affirmation surgery. World J Clin Oncol. 14(7): 265-284, 2023 doi: 10.5306/wjco.v14.i7.265. PMID: 37583948
- 2)Sterling J, Garcia MM. Cancer screening in the transgender population: a review of current guidelines, best practices, and a proposed care model. Transl Androl Urol. 9(6): 2771-2785, 2020 doi: 10.21037/tau-20-954. PMID: 33457249