42 .エストロゲン補充を行っているトランスジェンダー女性への検査(がん検診以外)のタイミングは?
ポイント
- ホルモン療法開始前には,血液・尿検査,心電図検査,身体計測などを行い, 血栓症や心血管イベントなどのリスク評価を行う.
- エストロゲン療法の開始後は,原則として1年間は3カ月ごと,その後は6カ 月ごとに血液検査を行い,血圧や体重を測定する.
- 効果の評価が必要な場合にはテストステロン値を測定する.
- エストロゲン療法前には,血算(CBC),凝固系検査(PT,APTT,fibrinogen, D-dimer),生化学検査(AST,ALT,ALP,γ-GTP,BUN,クレアチニン,電解質, 尿酸,総コレステロール,HDL-C,TG),耐糖能(随時血糖,HbA1c),甲状腺機能(TSH, fT4),プロラクチンなどの血液検査を行う.また,尿検査,心電図検査,身長・体重・ 血圧測定などを実施する.さらに,禁煙や体重管理を指導,高血圧があれば,循環 器内科などへの紹介を検討する.精子凍結保存の希望者には精液検査を行う.
- エストロゲン療法開始後は,原則として1年間は3カ月ごと,その後は6カ月ごと に血液検査(CBC,D-dimer,肝機能,脂質,血糖など),血圧・体重測定を行う 1). 陰茎勃起の抑制,乳房増大,体型の女性化などがみられるが,ひげの減少や声の 女性化は限定的である.テストステロン値が 60ng/dL 程度かどうかは,効果評価 の一つの指標となる.ヘモグロビンやヘマトクリット値は女性の正常範囲へと低下, 尿酸値も低下する.
文献
- 1)Hembree WC, et al. Endocrine Treatment of Gender-Dysphoric/Gender-Incongruent Persons: An Endocrine Society Clinical Practice Guideline. J Clin Endocrinol Metab. 102(11): 3869-3903, 2017 doi: 10.1210/jc.2017-01658. PMID: 28945902