43 .過多月経へのトラネキサム酸の適切な使用方法は?

ポイント

  • 海外のガイドラインでは,トラネキサム酸を1日 3.9g(1回 1.3g を1日3回), 月経開始後1~5日間内服することで月経量減少効果が示されている.
  • 本邦の添付文書では,トラネキサム酸は1日 0.75~2g を3~4回に分割して 経口投与すると記載されている.
  • 前向き無作為化比較試験の結果からは,1日約2g 投与でも月経血量の有意な 減少が期待できることが示されており,添付文書に準じた用量で投与する.
  • トラネキサム酸(TXA)は抗線溶作用を有し,子宮内膜からの出血を抑制することで月経量 を減少させる薬剤である.
  • 海外のガイドラインで推奨されている投与量は,本邦の保険診療上の標準用量(0.75~2g/ 日)より多い 1)
  • 過多月経を有する女性を対象とした前向き無作為化比較試験において,トラネキサム酸 1.95g/日群,3.9g/日群,プラセボ群が比較された.その結果,1.95g/日群および 3.9g/日 群のいずれにおいても月経血量(MBL)は有意に減少し,被験者自身もその改善を臨床的に 「意味のある変化」と認識していた.MBL 減少量は 3.9g/日群でより大きく(65.3mL/周期),1.95g/日群では 46.5mL/周期であり,用量反応関係は示唆されたものの,低用量でも明ら かな止血効果が認められた.また,効果は治療初回周期から出現し,3周期にわたり持続した. 健康関連 QOL(HRQL)も両用量群で有意に改善しており,過多月経が身体的・社会的・情 緒的側面に及ぼす影響の軽減が示された 2)
  • 機能性子宮出血を対象とした前向き無作為化比較試験では,TXA 2g/日と,メドロキシプ ロゲステロン酢酸エステル(MPA)10㎎を1日2回周期的に投与する治療が比較された(100 例).平均 PBAC スコアは TXA 群で 356.9 から 141.6 へ,MPA 群で 370.9 から 156.6 へと 低下し,両群で有意な月経血量減少を認めた.3カ月後の月経血量減少率は TXA 群 60.3%,MPA 群 57.7%であり,TXA はホルモン療法と同等の止血効果を示した.一方,治療無効例 は TXA 群で有意に少なく,観察期間中に子宮全摘術へ移行した割合も TXA 群で有意に低 かった 3)
  • 以上の前向き試験結果から,TXA は過多月経を含む異常子宮出血(AUB)に対して有効な 非ホルモン治療であり,1.95~2g/日という本邦で一般的に用いられる投与量でも,月経血 量減少および QOL 改善が十分に期待できることが示される.海外推奨量より低用量であっ ても,実臨床において有用性は高いと考えられる.

文献

  • 1)Bradley LD, Gueye NA. The medical management of abnormal uterine bleeding in reproductive-aged women. Am J Obstet Gynecol. 214: 31-44, 2016
  • 2)Freeman EW, et al. A dose-response study of a novel, oral tranexamic formulation for heavy menstrual bleeding. Am J Obstet Gynecol. 205: 319.e1-7, 2011
  • 3)Kriplani A, et al. Role of tranexamic acid in management of dysfunctional uterine bleeding in comparison with medroxyprogesterone acetate. J Obstet Gynaecol. 26: 673-678, 2006