44 .閉経後に縮小しない無症候性の子宮筋腫や子宮腺筋症のフォローアップは?
ポイント
- 無症候性の子宮筋腫および子宮腺筋症に対する閉経後の定期的な画像検査によ るフォローアップは原則不要である.
- 性器出血や下腹部痛,腹部膨満感などの症状を新規に認めた場合には,再評価 が必要である.
- 子宮筋腫はエストロゲンおよびプロゲステロン依存性の良性疾患であり,一般に閉 経後には自然に縮小することが多い.一方で,閉経後であっても明らかな縮小を示 さない症例が一定数存在する.その要因として,末梢脂肪組織でのエストロゲン産 生(アロマターゼ活性),筋腫自体における局所エストロゲン産生,成長因子や炎症 性サイトカインの関与,肥満により閉経後であっても筋腫がホルモン刺激を受け続 ける可能性が挙げられる 1, 2).
- 子宮腺筋症も子宮筋腫と同様に,多くの場合,閉経後には病変の縮小や症状の軽快 を認める良性疾患である.一方,子宮内膜癌(EC:endometrial cancer)のうちごく 一部(1%未満)の症例では,子宮腺筋症病変内に存在する異所性内膜が悪性転化す ることにより発生することがあり,これは子宮腺筋症内発生子宮内膜癌(EC-AIA: endometrial carcinoma arising in adenomyosis)と呼ばれる極めて稀な疾患である. EC-AIA は閉経後患者に多いとされるが,超音波検査や MRI において特異的な画 像所見は確立されていない 3).
- 無症候性の子宮筋腫および子宮腺筋症では,閉経後の定期的な画像検査(超音波検 査や MRI)による経過観察は必ずしも必要ではない.
- 一方で,閉経後に新たな性器出血,下腹部痛,急速な腹部膨満感などの症状を認め た場合,あるいは短期間で明らかな腫瘍増大を認めた場合には,悪性腫瘍を除外す るための再評価が必要となる.
- 実地診療においては,「閉経後に縮小しない」という理由のみで漫然とフォローアッ プを継続するのではなく,症状出現時には速やかに受診するよう十分に説明した上 で,症状に基づいたフォローアップへ移行することが重要である.
文献
- 1)Ulin M, et al. Uterine fibroids in menopause and perimenopause. Menopause. 27: 238-242, 2020
- 2)Nowak M, et al. Rapidly growing uterine myoma-should we be afraid of it?. Prz Menopauzalny. 22: 161- 164, 2023
- 3)Raffone A, et al. Endometrial Cancer Arising in Adenomyosis(EC-AIA): A Systematic Review. Cancers (Basel). 15: 1142, 2023