8.陳旧性梅毒で治療後にも継続する症状への対応は?

ポイント

  • 陳旧性梅毒は検査値だけ,特に1回の検査だけでは診断することはできない.
  • RPR と梅毒トレポネーマ抗体の同時測定(同一検査キットを用いた自動化法)を概ね4週ごとに行い,その推移をみる.
  • 症状の有無・持続,パートナーの状況(罹患歴やリスク行動,検査結果,治療経過など)も確認し,一定期間フォローする.

    陳旧性梅毒とは,梅毒が治癒状態にあると判断されるものである.『産婦人科診療ガイドライン婦人科外来編 2023』では「梅毒抗体の値は様々であり,症状の安定化,RPR,梅毒トレポネーマ抗体の値の推移等から総合的に判断する」とされている.「総合的に」というのは裏返せば決め手となる単独の検査指標がない,という意味である.
    一般的に RPR 陽性梅毒では,自動化法による抗体価が治療前値の概ね 1/2 まで低下した場合,また RPR 陰性早期梅毒の場合には症状が軽快し,梅毒トレポネーマ抗体の値が減少傾向にある場合に治癒を示唆する所見の一つとされる(表11).ただし,抗体価の推移だけではなく,症状の有無や持続,セクシャルアクティビティ,パートナーの状況(罹患歴やリスク行動,検査結果,治療経過など)も併せて確認することが必要である.
    およそ1年を目安に経過観察すること,疑念がある場合には専門医への紹介・相談(遠隔相談も含む)をためらわないことが重要である.

梅毒血性反応検査による評価

文献

  • 1)一般社団法人 日本性感染症学会.厚生労働行政推進調査事業補助金(新興・再興感染症および予防接種政策推進研究事業).梅毒診療の考え方 令和6年3月,梅毒患者の実態把握および対策に資する研究(山岸由佳班)(https://www.kansensho.or.jp/uploads/files/topics/syphilis_240404.pdf