(2)食生活と栄養管理

ポイント

  • 妊娠前の良好な栄養状態は,妊娠経過や胎児発育,出生後の児の健全な発育のために極めて重要である.
  • 『妊娠前から始める妊産婦のための食生活指針』を参考にバランスの良い食事をとり,妊娠前にやせや肥満を解消して適正体重を維持する.
  • 児の神経管閉鎖障害予防のため積極的にサプリメントを活用し,1日400µgの葉酸を摂取する.
  • 1)プレコンセプションケアにおける栄養管理の重要性

    • 妊娠前の女性の栄養状態は,生殖機能や妊娠高血圧症候群,妊娠糖尿病,早産などの産科合併症と関連し,胎児発育にも影響を及ぼす.
    • 子宮内環境を通じて児の成長発達,将来の疾病発症にも影響を及ぼすと考えられている.
    • 本邦の20歳台女性の1日の平均摂取エネルギー量は1,630kcal,30歳台女性で1,661kcal,40歳台女性で1,701kcalと,推定エネルギー必要量を大きく下回る1)
    • 日本人女性のやせ(BMI<18.5)の増加やエネルギー摂取量減少と,平均出生体重の減少には有意な相関がある2)
    • 生活習慣由来の肥満(BMI≧25)も同時に存在し(20~30歳台でおおむね12~13%),特にBMI≧30の肥満は無排卵(月経異常)や産科合併症と有意な相関がある.
    • 20~40歳台女性の平均脂質エネルギー比率は30%を超えており,低エネルギー高脂質が現代女性の栄養状態の特徴である1)
  • 2)栄養管理の実際

    • 主食・主菜・副菜の揃ったバランスの良い食事が基本となる.
    • 複数の食品を摂取し栄養素の偏りを避け,1日3食規則正しく食事をとる.・望ましい食生活を実践するための指針として『妊娠前からはじめる妊産婦のための食生活指針』がある(表1)3)
    • 具体的に1日に何をどれだけ食べたらよいかは『食事バランスガイド』を参考に献立を考えるとよい(図3)4)
    • 毎食バランスのとれた食事を用意することは難しいが,朝食の欠食を減らしリズムを作り,1日に2食は主食・主菜・副菜が揃った食事をとることを心がける.
  • 3)微量栄養素の摂取

    • 児の神経管閉鎖障害予防のため妊娠の1カ月以上前からの葉酸摂取が勧められる.
    • 葉酸は食品に含まれる天然型よりもサプリメントや薬剤に含まれる合成型の生体利用率が高いため,積極的にサプリメントを活用し400µg/日摂取する.
    • 鉄は胎児の成長や循環血液量の増加などに伴い妊娠期に需要が増大するため,妊娠前から鉄を多く含む食品の摂取が望ましく,サプリメントの使用も勧められる.
    • 7~14歳の女児におけるカルシウム摂取量は606㎎/日だが,15~19歳で417㎎,20歳台で386㎎と学校給食終了後減少する1).Peak bone massを迎える18歳頃以降も骨粗鬆症の予防のため660㎎/日のカルシウム摂取が必要であり,毎日牛乳瓶1本,もしくはヨーグルトなどで習慣的に摂取することが望ましい.

妊娠前から始める妊産婦のための食生活指針 食生活の10のポイント

食事バランスガイド

文献