(4)妊娠糖尿病(GDM)・糖尿病
ポイント
- GDM既往女性には,定期的な糖代謝異常の評価を行い,糖尿病の早期診断・早期治療を行う.
- 妊娠前に生活習慣介入,体重管理を行う.
- 糖尿病を有する女性では,妊娠前の血糖・合併症管理と薬剤調整を行う.
- 血糖管理目標に達していない場合は計画的妊娠,避妊を指導する.
- 妊娠前から葉酸摂取を行う.
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1)GDM既往女性に対するプレコンセプションケア(図25)
- GDM既往女性では将来の糖尿病発症リスクが高いため,産後4~12週で糖代謝評価を行う1,4).その後も定期的な糖代謝異常の評価を行い,糖尿病の早期診断と早期治療を行う1,4).
- 母乳哺育は,糖尿病発症予防効果が示唆されており推奨する1,4).しかし,どの程度の母乳強度で,どのくらい母乳哺育を継続する必要があるかについては明らかではない.
- 肥満女性には栄養指導や運動療法を導入し,生活習慣改善と体重管理を行う1,4).体重の適正化は,糖尿病発症予防効果がある.一方,やせ女性に対しては早産と胎児発育不全のリスクあり,妊娠前に至適体重になるよう指導する4).

- 禁煙と飲酒に対する指導を行い,妊娠前からの葉酸服用を勧める.
- 次回妊娠に対する不安や糖尿病発症に対する不安に対し心理的サポートを行う4).
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2)糖尿病を有する女性へのプレコンセプションケア
- 糖尿病合併妊娠では,児の先天性形態異常,巨大児,周産期死亡,新生児合併症リスクが増加するが,妊娠前からの血糖・合併症管理により予防が可能である1).妊娠前のHbA1cは6.5%以下を目標とする(ただし,1型糖尿病で低血糖のリスクが増加する場合は7.0%以下を目指す).
- 血糖降下薬は原則インスリンに変更する1,2).メトホルミンは妊娠第1三半期まで投与可能である2).
- 網膜症,腎症,高血圧などの合併症も妊娠前に評価・治療を行い,妊娠中継続可能な薬剤に調整する必要がある1-3).
- 肥満女性では,減量により妊孕性や母体・胎児予後が改善する.生活習慣改善や体重管理を指導する2,3).
- 糖尿病に関連した先天性形態異常の予防を目的とした妊娠前からの葉酸服用を指導する1,2).
- 計画的な妊娠,避妊の指導,妊娠に対する不安に対する心理的サポートを行う.高年齢女性には妊孕可能年齢への配慮も必要である.
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3)まとめ
GDM既往女性や糖尿病を有する女性に対してのプレコンセプションケアは,次回妊娠および長期的な母児の健康維持に重要である.医師(糖尿病内科医,産婦人科医,眼科医,腎臓内科医,家庭医),糖尿病療養指導士,看護師,助産師,栄養士,薬剤師などの多職種が連携してプレコンセプションケアを行っていく必要がある.
参考文献
- 1)American Diabetes Association. 15. Management of Diabetes in Pregnancy: Standard of Medical Care in Diabetes-2025. Diabetes Care. 48: S306-S320, 2025
- 2)日本糖尿病学会.日本糖尿病学会編.糖尿病診療ガイドライン.南江堂.355-393,2024
- 3)荒田尚子.日本糖尿病・妊娠学会編.妊婦の糖代謝異常 診療・管理マニュアル.メジカルビュー社.79-81,2025
- 4)菅幸恵,安日一郎.日本糖尿病・妊娠学会編.妊婦の糖代謝異常 診療・管理マニュアル.メジカルビュー社.299-302,2025